古典模様とは、江戸時代もしくは明治・大正と流れているもので、先人たちが、直して、直して繋げて完成品ができたものなので、私たちはなるべくそのままで繋げていきたいと考えています。 曽根崎心中は今使って今お見せするものは私の作品なので、手直ししてもいいのです。 出来上がってきた振付を、頭に入れて体で覚えて踊ってもらい、それから手直ししたいので早く覚えることが大切。若い子はスマホやタブレットですぐに覚えてきます。 そのあとが問題なのです。覚えてからが大切で、どのように体を使うか、お月さまは上がるのか下がるのか、どの位置にあるのか目線はどのように流すのかを細かく指示し伝えていきます。
創作って上手な人でないとダメなんです。ほんと、ちゃちなものになってしまう。始めての作品は作品自体がいいはずがない。作ったばかりのものは、練る時間がないから、たとえば、白鳥の湖だって始めは、今みたいではないはず、音楽もそうだと思うのです。上演後に課題を残し何度も話し合って練りなおして、何十年もの時間をかけて現在のかたちに仕上がったものです。 私は、いつも公演後に、ああしたらよかった、こうしたらよかったと思うことばかりで、褒めていただけるのは大変に嬉しいことですが、冷や汗がたらり・・ということがあります。自分でも、良かったと思う瞬間の時は、共演者、スタッフの強い熱気が伝わってくるときですが、いつでも課題を探すことは大切だと考えています。 生まれた瞬間は素晴らしいことです。それに色どりをつけて強くたくましい命を盛り込んでいくこと、これは、どの世界にも通用しますね。日本舞踊を通じてもっともっと、たくさんの方に受け入れていただけるよう今後とも努力を重ねてまいります。(五条園美)